第八十三話反撃の刀剣

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「お帰りなさい、霧隠さん、猿飛さん」 慣れた様子で島は鬼二匹に言う。 シュンッ 鬼二匹は煙に包まれ… 「只今帰りましたよ」 人間の姿に戻った猿飛は笑って島に手を振り… 「…戻った」 同じく人間の姿に戻った霧隠も一言言う。 二人の後ろには、先程鬼が持っていた塩の袋が山積みに置かれていた。 「こりゃ…驚いた。あんた達鬼神かい?」 気配で分かり、次郎は目を真ん丸にする。 「あぁ、真田家は鬼神で…生計立てる為に時代が歪むまでは地獄で…獄卒として働いていたんだ」 笑って猿飛は次郎に答えた。 「…収入が良かったからな。…しかし、時代が歪んだ際…地獄に戻れなくなったが…」 霧隠も微妙な顔をして頷く。 「それは大変だったね…」 二人から聞いて石切丸は苦笑する。 「でも…他の皆に会えて良かった事もありますよ?」 塩袋を運びながら臥竜は笑って頷く。 「…他の兄弟に会えましたぁ」 ふらつきながら、塩袋運びつつ竜骨も頷いた。 「他の兄弟…?」 びっくりして石切丸は首を傾けた。 「俺、我流藤四郎で…こっちは竜骨藤四郎って言うんですけど…粟田口なんです。 だから、皆に会えるの楽しみなんですよ」 簡単に紹介して我流は笑う。 「あんた達…」 次郎は涙ぐむ。 「左近、弓兵の作戦会議は終わったぞ」 そこへ、弓兵を引き連れ霧時雨が戻って来た。 「ご苦労、霧時雨が居て助かるよ」 笑って島は頷く。 「そりゃ…お前がサボれるからだろ」 目を細め霧時雨は島に言う。 「サボるなんてとんでもない…」 苦笑いして島は手を振る。 「どうだか?ん?客人居られたのか…」 気付いた霧時雨は次郎と石切丸に近寄る。 「申し遅れました。島左近の刀剣…霧時雨と申します。どうかお見知りおきを…」 霧時雨は丁寧に名を名乗り頭を下げる。 「あたしは次郎太刀だよ」 「私は石切丸と言う」 穏やかに微笑んで二人も霧時雨に名乗った。 「それじゃ、お清めお願いしますね」 塩袋の山から、一つ口を開けると臥竜は二人に頼む。 「あたしらの出番だね!」 「任せて貰おうか」 笑って次郎と石切丸は、霊力で塩を清め始める。
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