第八十三話反撃の刀剣

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二人が清めた塩を、臥竜、竜骨、猿飛、霧隠が小さな浅袋に入れ紐で結わえ… 弓兵達は矢の先端にくくりつける。 これは、弓矢を放った際に…矢尻の先端が突き刺さると同時に浅袋を突き破る仕組みになって居るのだ。 「ん?」 不意に、通信機から誰かからの通信が入る。 「殿?」 表示されたのは石田で、島はびっくりする。 『左近、聞こえるか?俺は愛奈様から命令を受け…豊臣本陣の真下に待機している。 …愛奈様の命令で、弓兵の放つ合図を俺が送るつもりだ』 淡々と石田は島に言う。 「承知致しました。タイミングなんですが…殿、ギリギリまで引き付けて戴けませんか? ギリギリで放たなきゃ数を倒せないんですよ」 苦笑して島は石田に聞く。 『ふん、俺を誰だと思っている?…そんな事など策を労するより容易い』 笑って石田は島に答えた。 「助かりますよ」 微笑んで島も礼を言う。 弓兵は、準備が終えた者から横一列に並び… 後ろにも横一列に並んでいく。 射ち終わった者から後ろへ回り、間発入れずに連射するように射てる仕組みになっている。 同じ頃… 「籠手切っ!加勢するぜ!」 状況を見て獅子王が飛び出した。 「…さて、血がたぎる!」 笑って薬研も短刀を構える。 「主の為に!」 不動も短刀を鞘から引き抜いた。 「助かります!皆さん、行きますよっ?」 四人は死人や山賊に向かって突っ込んで行く。 同じ頃… 隅に隠れた愛奈は闘う皆を見守っていた。 …皆強いな…ドンドン倒していく… 闘い振りに、愛奈は感心して頷く。 そこへ… ガシッ 「っ!?」 誰かに肩を捕まれ、愛奈は目を見開いた。 「きゃあっ!」 「「「「?」」」」 愛奈の悲鳴が聞こえ、敵を倒し終えた三日月達は驚愕して目を見開く。 「…動くな…動いたらガキを殺す」 愛奈を抱っこしながら、桑次郎は脅迫する。 神子田は笑みを浮かべながら愛奈の首筋に打刀を突き付けていた。 「…」 動けず、三日月達は凄まじい形相で二人を睨み付ける。 ……やはり…私を狙って人質にしたか… 怯えた顔をしながら、愛奈は内心涼しい顔をしていた。 盛親達も落ち着いて愛奈の首や腕に巻かれた状態で動こうとはしない。
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