第八十四話やっぱり来てくれたね

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「神子田、仲間が合流したら厄介だ。早く死人共と合流するぞ」 「分かりました…」 桑次郎に言われ、神子田も頷く。 そして二人は死人の大群に向かって走り出そうとする。 同じ頃… 「気持ち悪いっ!」 「…一々叫ぶな!死んだら俺達も…あいつらの仲間入りだ!」 青ざめる宗三に、長谷部は必死に死人から逃げながら叫ぶ。 「あっ、見えてきましたよ」 先を走っていた無月が瓢箪の旗印に気付く。 「って事は此処だな!」 浅井も笑みを浮かべ、安堵しながら立ち止まる。 「「…」」 一文字と信義も立ち止まる。 「来たか…」 石田は馬から降りて前へ出る。 「これは…これは…」 馬の上から、日向はびっくりして目を丸くした。 長谷部と宗三の後ろから、死人の大群が押し寄せていたからだ。 「構えろ!」 島は本陣から、弓兵に号令を掛ける。 ギリギリギリ… 弓兵達は一斉に弦を引き弓矢を構えた。 「くっ!」 「っ!」 長谷部と宗三は、同時に左右へ飛び退く。 「放て!」 タイミングをみて、石田は弓兵に合図を出した。 バシュンッシュシュンッ 凄まじい速さで弓矢が放たれ… 【ギヤアアアアアッ!】 雄叫びを上げ、射抜かれた死人は清めの塩で浄化され消えていく。 「あれは…」 死人の大群と合流をしようとしていた神子田は、その方角から清らかな光を感じて目を丸くする。 「くそっ!死人に何か策を仕掛けていたのか!!」 悔しそうに桑次郎は叫ぶ。 「川に向かって逃げましょう。愛奈が人質になっている以上…何も手出し出来ませんっ!」 必至な表情で神子田は桑次郎に助言する。 「…分かった」 桑次郎も神子田に頷くと、川に向かって逃げて行く。 「待ちやがれ!」 土方を筆頭にそれを皆が追い掛ける。
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