第八十四話新撰組のケジメ付けねぇとな

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第八十四話新撰組のケジメ付けねぇとな

それぞれが無事に戻り身体を休めていた。 「偉く疲れましたわ…」 肩を叩きながら、明石は座り込む。 「あの…明石さん…」 恐る恐る高次は明石に声を掛けた。 「愛奈ちゃんから聞いたで。あそこの侍に殺されて…愛奈ちゃんの力で帰って来たってな」 高次に視線を向けると、明石は苦笑する。 「っ…」 高次は明石を見て涙ぐむ。 「自分や吉宗様…他の皆も同じだと思うけど…どんな姿になっても道敏は道敏や。 …他になんも変わらへん。助けられなくて堪忍な?」 明石も涙が溢れだし、涙声で高次に謝る。 「っ!」 耐えきれず、高次は明石に抱き付く。 ギュッ 明石も涙を流しながら高次を抱き締めた。 「うんうん、家族って良いよね。勿論…愛奈や、高次の事だよ」 愛奈と高次を見詰めながら、青江は隣に居る顎丸に言う。 「…そうだな。家族程暖かい者は居ない」 青江の言葉に顎丸は苦笑する。 「顎丸っ!」 「っ!?」 後ろから声を掛けられ、顎丸は振り返る。 そこには髭切と膝丸が佇んでいた。 「髭切兄上…膝丸兄上…」 二人の姿を見て顎丸は涙ぐむ。 「おいで?ずっと…心配してたんだよ?」 涙を流しながら、髭切は両腕を広げた。 ギュッ 「髭切兄上!」 耐えきれず、顎丸は髭切に抱き着く。 「良く無事で居てくれたね」 優しく髭切は顎丸を抱き締め… 「本当に…良かった」 男泣きしながら、膝丸も顎丸の生還を喜ぶ。 ……家族か……今の恒次が…脇差しになった僕を見てどんな顔するかな? 今は居ない弟を想像しながら、青江は空を見上げる。
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