第八十四話新撰組のケジメ付けねぇとな

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「やはり…竹中殿に会って行かれないんですね…」 複雑な表情で島は下に俯く。 「生前の父は、私が死んだと思われています。それが竹中一族が考えた家を守る為の策。 故に…私と父上が会うことも行けません。…私達が会えば時代が再び大きく歪んでしまう」 顔を合わせずに重門は島に言う。 「…頭では分かっているんですがね…理屈じゃどうにもならないのも…」 悲し気な表情で島は頭を掻きながら呟く。 「…貴方に会えて良かったです。元気そうな父上の話も聞けましたし…それでは…」 後ろ手に手を振ると、重門は竜御前と共に去って行くのだった。 「行かせて良かっのか?」 見かねた霧時雨は島に問い掛ける。 「人の家族間に首を下手に突っ込めないんだよ。それぞれ事情がある」 苦笑して島は霧時雨に言うと、その肩を叩き背を向け本陣に戻って行く。 『…』 一連の話を聴いていた頼平も、悲しい顔をして下に俯く。 同じ頃… 平助、斎藤、土方、兼定、堀川、兼重、加州、安定、国重が四方を取り囲む中… 桑次郎は震えながら具現化した安定を手に… 微笑を交え佇む沖田と対峙していた。 「新撰組局中法度…命令意外に、仲間を殺したり、民を殺めた者は死罪。 …本来なら切腹が妥当なんだけど…君、そんな気なんて無いよね?」 笑って沖田は桑次郎に近付く。 「黙れ…黙れ…貴様は…池田屋で病を患って倒れてから…対した名も残せていねぇ!! 俺は新撰組の為に不要だから…加州清光を安定で折った!」 笑いながら、桑次郎は叫ぶ。 「てめぇ!」 頭に来て、加州は掴み掛かろうとするが… 「清光…っ!」 安定は加州の肩を掴んで制止する。 「…」 無表情で沖田は桑次郎に視線を向け続けている。 「そこに居る藤堂平助だってそうだ…裏切り者の癖に…死にぞこ無いの癖に生かして置く価値なんか無いっ!! だから殺した…バラバラに刻んでなっ!」 尚も狂った様に桑次郎は自慢げに叫ぶ。 「っ…」 「!」 平助と兼重は目を見開く… 「…」 「…」 バッ 頭に血が上って、斎藤と国重が桑次郎に斬り掛かろうとする…が…
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