第八十四話新撰組のケジメ付けねぇとな

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「落ち着け!国重!」 「斎藤君!堪えて!」 兼定と堀川が二人を羽交い締めにして制止する。 「…」 土方は青筋を立てながら様子を見ている。 「あのさ…君がひけらかす武勇伝って奴? 皆…暗殺や折れ欠けた刀を折ったり…死にそうな元幹部を殺したり…真っ向勝負した事なんて無いよね?」 不敵に笑って沖田は桑次郎に問い掛ける。 「っ!!」 図星を言われ、桑次郎は目を見開いた。 「池田屋で僕は真っ向勝負で名を残したよ? 最期に斬った長州の吉田利麿なんかは…本当に斬り合って楽しかったもん。 ゾクゾクしてさ…殺し合いでしか味わえない命の駆け引きがある。 …それを知らない君程度の小者に…でかい顔されたくないんだよね…」 笑って沖田は桑次郎を指差し言い放つ。 水戸城。 縁側で寝てしまった物吉と貞宗に、吉田は毛布を掛けていた。 「へっくしゅんっ!へっくしゅんっ!」 突然吉田は、くしゃみを連発してしまう。 「利麿君?風邪でもひいたの?」 びっくりして、部屋を片付けていた信常が尋ねる。 「…いや、多分誰か僕の悪口言ったんだよ」 変な顔をして吉田は信常に答えた。 「悪口を?」 同じく部屋を片付けていた光藤も、目を丸くして首を傾けるのだった。 場所は戻り… 「…五月蝿いっ!五月蝿いっ!俺は強い!新撰組で最強最悪の剣士なんだぁ!」 沖田の言葉に桑次郎は…我を失い自暴自棄になると打刀を振り回しながら沖田に斬り掛かる。 「…救いようが無い馬鹿な子…清光!」 溜め息を着くと、沖田は加州を呼ぶ。 「はあーいっ!加州いきまーすっ!」 元気いっぱいに、加州は沖田に駆け寄ると人の姿から打刀の姿に戻る。 「あはは…!」 スラリッ 笑いながら沖田は鞘から加州を引き抜く。 「死ねぇ!沖田総司ぃっ!」 叫びながら桑次郎は斬り掛かる…が… シュンッシュシュンッ 沖田の得意技、目にも止まらぬ早さの三段突きが桑次郎の急所を的確に斬り付ける。 「あ…」 頭、首、心臓を沖田に斬り付けれ、血を流しながら桑次郎は… 沖田の後ろ姿を見詰め… ドサッ 最期に瞳孔が開き、絶命して倒れた。 サアアッ そして砂へと還る。 「…粛清完了」 無表情で沖田は、清光に付いた血を返しで拭き取り鞘に納めた。 「…良くやった」 満足して土方は目を瞑る。 「総司っ!」 ギュッ 嬉しくて平助は沖田に飛び付き…
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