第八十六話私は愛されていないのかな?

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「どうし…」 立ち上がり、光忠は愛奈に近寄ろうとするが… 「来ないで!私に近付かないで!」 涙を流して愛奈は叫ぶ。 …大将の様子がおかしい…なんだ?この様子だと… 大将の症状は精神的ストレス…いや… 必死に薬研は思考を巡らせる。 「主っ!?一体どうなされたんですかっ!?」 心配して不動も愛奈に近付こうとするが… 「来るな!誰も近付くな!」 悲痛な表情で愛奈は叫ぶ。 「っ!!」 愛奈に言われ不動も立ち止まるしかない。 「…愛奈?」 大倶利伽羅も心配になり… 「…」 一期一振も愛奈を見詰めるが近付けない。 「この症状…長谷部…」 宗三は気付いて長谷部に問い掛ける。 「あの時の市様と同じだ」 悲し気な表情で長谷部は頷く。 「怖い!怖い!怖いの!男の人皆が…怖いの!」 泣き叫びながら愛奈は座り込む。 …男が怖い…?これは男性恐怖症…まさか外傷性ストレスと精神的ストレス… ゆっくり薬研は、愛奈を怖がらせないように近付きながら症状を把握する。 スッ 「大将…大丈夫…大丈夫だ…俺達は大将を傷付けない…」 優しく愛奈を抱き締め、薬研は優しい声で宥める。 「…」 安心したのか、愛奈はそのまま気を失ってしまい… 薬研は膝を付くと、愛奈を膝枕する。 「皆…落ち着いて聞いてくれ。愛奈の前世…市様も同じ症状だった。 …けど、市様だけじゃ症状が再発するとは限らない。 ……まさか……明実の時もあったのか?」 皆に状況を教えた後、悲し気な表情で薬研は気付いた。 「…お方様の時…って…っ!!」 鶴丸は思い出して口元に手を当てる。 「…」 光忠も気付いて膝を付く。 「知っているのか?」 大倶利伽羅は光忠に尋ね… 「鶴丸…?」 鶴丸の様子に一期一振も困惑する。 「…大将…」 泣きそうな表情で薬研は愛奈の頭を優しく撫で… 「明実の時も…あったのか…怖い事が…」 市の病を知っていた不動も、愛奈に近付くと泣きそうな表情になる。
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