第八十六話私は愛されていないのかな?

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誰も誰も誰も私を見てくれない。 痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い… 怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い… 『市!来い!貴様の兄が逃げた!貴様のせいだ!』 グイッ バシッドカッバキッ 痛いやめて…怖い長政様…嫌だよ… ゴオオォォッ 燃え盛る火の中…見た長政様は… 『市、そなたや子供達だけでも逃げてくれ』 誰?貴方なんて知らない長政様は優しく無い。 知らない知らない知らない知らない知らない 『市、入っても良いか?』 『入って来ないでくださいっ!』 兄上でさえも怖くなった。 『あれ?市…まだ会えないの?』 『貴様なんかに会いたくないっ!』 本当は会いたいけど怖くて会えない。 明実として生まれ変わっても… 『我が儘言いやがって!』 『こうしてやる!』 小さな私に無数の痣… 大人になって分かった。 父親と祖父が自閉症や発達障害を抱えていた事。 祖父も障害を抱えていたから、父親の症状を理解できなかった。 小学校の時も、表面は人面が良く私に対して感情的になり精神的暴力を奮う男性教師が居た。 怖くて怖くて仕方無かったけど、助けを求めても両親は何もしてくれなかった。 最近、死ぬ前に父親に聞いた。 何故あの時私を暴行し繰り返したのか… 返って来た答えは、子供の様な答えで『分からない』だった。 私に植え付けられた恐怖や痛みは消えない。 分からないじゃ済ませられない。 父親は障害者だから私の痛みを理解出来ない。 辛い苦しい怖い…怖い怖い怖い怖い。 死ぬ瞬間まで怖くて仕方無かった… 「…」 愛奈は目を醒ました。 「大将…?」 膝枕してくれている薬研と、愛奈は自然と目が合う。 「主…」 不動も愛奈の様子を心配して見詰める。 「私…愛されなかったのかな?」 涙を流しながら愛奈は薬研と不動に聞いた。
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