第八十七話頑張らなくて良いんだよ。馬鹿愛奈

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「あたしが女形の格好しているからか…愛奈は怖がらないね。 うん…あたしなら大丈夫そうだよ」 話を聞いて次郎は戻って来ると、愛奈を前にして苦笑する。 「…」 愛奈は俯いたまま何も喋ろうとはしない。 「忠興、どうするべきかな?あの状態では…吉宗様や黒田様も怖がってしまうよ?」 歌仙は事態を重く見て、細川に尋ねる。 「…」 細川は考え込んでいて話そうとはしない。 「細川様…」 江も泣きそうな表情になる。 「細川君!…次郎が近付けるのが女装しているから…なんでしょ?」 「竹中さん…?」 後ろから竹中に声を掛けられ、細川はびっくりする。 「…山賊から盗まれていた…あの綺麗な着物で…俺の着物を仕立てて!早く!」 竹中は急かすように細川に頼む。 「…分かりました」 異図を理解し、細川は即座に答え取り掛かるのだった。 「…私が事故で先に死んだから…だから明実はきっと…両親に…」 話を聞いて高次は自分を責める。 「…お前が自分を責めた所で何も変わらない」 頼光は高次を冷静に諭す。 「っ」 涙目になり高次は下に俯いた。 「…顎丸、どうするべきだろうね…僕達でも近付けない」 隣に居る顎丸に青江は言葉を振る。 「見守るしか出来ないだろう。愛奈の親代わりだった刀剣も近付けん」 苦笑して顎丸は青江に答えた。 「…僕達は僕達で出来ることをやろう。愛奈はゴタゴタで朝からほとんど食べてないから…食べ物を取って来よう」 苦笑して光忠は皆に言う。 「…そうだな。夜行性の魚なら取れるはず…」 頷いて大倶利伽羅も微笑む。 「そんじゃ…俺達は木の実を探して来るぜ。女の子なんだから、デザートは必須だろ」 笑って鶴丸も立ち上がる。 「参りましょう」 頷いて一期一振も立ち上がり… 四人は散らばるのだった。
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