60人が本棚に入れています
本棚に追加
「次郎姐さん…」
「ん?」
次郎に抱っこされながら戻る途中、愛奈は次郎の名前を呼ぶ。
「直ぐには治らないけど…光忠お兄さん達を傷付けちゃったから…私…謝る」
涙目で愛奈は次郎に打ち明けた。
「愛奈が謝ってくれたら…あいつらも喜ぶさ。
無理しない程度に頑張りな?」
優しく微笑んで次郎は愛奈の頭を撫で…
薬研と不動も優しく微笑んだ。
同じ頃…
長谷部は山賊拠点を一人で調査していた。
「敵が殲滅した今…信長や主に危険など無いと思うが…念には念を入れないとな」
……俺が黒田様に下げ渡されて直ぐ…
信長は志し半で本能寺と共に焼けた。
…もう二度とあんな想いはしたくない…
硬く拳を握り、長谷部は拠点から出ようとした…
「…日本号…?」
そこに、腕を組んで立つ見覚えのある男に長谷部は目を丸くする。
「よぉ?…その…なんだ…顔を会わせるなり戦になったし…愛奈も精神的におかしくなるしで…俺も敵が居ないか調査していたんだ」
苦笑して日本号は頭を掻きながら、長谷部に言う。
「…貴様が調査を?…ふん、酒の飲み過ぎておかしくなったんじゃないか?」
鼻で長谷部は笑うと…日本号に背を向けた。
「…おかしくなったかもな…」
グイッ
「っ!?」
笑って日本号は長谷部の肩を掴む。
掴まれた長谷部は、びっくりして日本号に振り向き…
「ん…」
日本号に口付けされ、長谷部は大きく目を見開いた。
くちゅっ…ちゅぷ…
ビクビク
「ん…ふあ…んう…」
音を立てながら、日本号は長谷部の舌と絡ませ口内を犯す。
ズルッ
銀の糸を引きながら、やっと長谷部は解放され…
「っ…」
力無く長谷部は座り込んだ。
「あんたが俺を酔わせた。だから酔わせた責任をあんたが取ってくれ」
笑って日本号は言うと、長谷部を残して拠点から出ていく。
「っ?屈辱だ…くそっ…誰が貴様の責任なんか取るか…」
顔を真っ赤にさせ、長谷部は日本号の背中を睨み付けるのだった。
「…好都合でしたのに…長谷部を手込めにしなかったのですね」
一連の様子を見ていた宗三は、出てきた日本号に言う。
「手込めにするなんざ簡単だけど…想いが通じ合わないとつまらねぇさ」
苦笑して日本号は肩を竦める。
最初のコメントを投稿しよう!