第八十八話親の心、子知らず…槍と打刀

3/4
前へ
/857ページ
次へ
「想い…ですか」 興味無さそうに宗三は目を細める。 「そう言う…あんたこそ…本丸で知っているんだぜ? 御手杵とあんた…関係持って居たじゃねぇか?」 日本号は振り返って宗三を見詰めた。 「単なる遊びです。心などありませんよ。…体の相性が良かった…ただそれだけの事…」 綺麗な顔のまま、宗三は形を崩す事無く冷酷に言い放つ。 「…あんたはそうかも知れねぇが…御手杵は真面目な坊主だ。 坊主はあんたを本気で愛している。あんたも…御手杵と再会したら答えるべきじゃねぇか?」 真剣な表情で日本号は宗三に言った。 「興味ありませんね…」 一言だけ言うと、宗三は去っていく。 「御手杵には同情するぜ。高嶺の華に手を出す所か…気持ちを遊ばれるなんてな」 日本号は溜め息をついた。 同じ頃… 歪んだ戦国時代… 「ぶぇっくしょいっ!」 茶髪で短髪、緑色の繋を着た青年が派手なくしゃみをした。 「大丈夫デスカ…?」 びっくりして隣を歩いていた紫色の髪、白い少し露出が激しい服を着た青年が声を掛ける。 「いや…大丈夫だ。…誰か俺の噂でもしてんのかな?」 空を見上げて、青年は首を傾げるのだった。 場所は戻り川辺では… 「…究極って…便利だね。修行して極になるの通り越して…力が使いたい放題…」 少し現実逃避しながら、光忠は右手に雷を纏い… 次々と魚を感電させ捕っていく。 「…あぁ。そうだな…」 虚ろな表情で、大倶利伽羅も光忠が捕った魚を紐で縛って行った。 「…会ってまだ三日くらいだけど…愛奈は僕達の可愛い可愛い娘…嫌われたくないよ」 涙を流しながら光忠は本音を打ち明ける。 「…俺も同じだ。失いたくない…しかし、愛奈は精神的ストレスで病気を抱えている。 …俺達を怖がるようでは…もう一緒に居る事も叶わないだろう」 大倶利伽羅も涙目になり、言葉を詰まらせる。
/857ページ

最初のコメントを投稿しよう!

60人が本棚に入れています
本棚に追加