第八十九話私、頑張るから…

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「愛奈ちゃん…精神的な病でしょ?…カウンセリング受けさせれば良くない?」 頬杖を付いて沖田は土方に言う。 「カウンセリング受けさせたからって…そう早く治るもんでもねぇよ」 呆れた顔をして土方は目を細める。 「カウンセリング…心療内科…山南さんは医者でも内科…久坂さんは外科…。 駄目だ…知り合いは畑違い…」 平助は青ざめて項垂れた。 「…心療内科…難しい…心療内科か」 斎藤も考え込む。 「副長、あの…俺一応この幕末で精神科医院やってます。 …愛奈を診ても宜しいですか?」 恐る恐る手を上げ、山崎は土方に聞いた。 「居たし…」 沖田は目を真ん丸にし… 「まさに神の助け!」 嬉しそうに平助は喜ぶ。 「…」 斎藤は無言で山崎を見詰め頷く。 「…山崎、それを早く言え…早く…。状況を見て愛奈を診ろ」 安堵すると、土方は山崎に命じた。 「承知致しました」 山崎は土方に頭を下げ返事をする。 「あかん…あかんで…」 愛奈の様子を聞いて、明石は寂しそうに項垂れる。 「きちんと挨拶も出来ねぇな」 戻って来た日本号も胡座を掻くと溜め息を付く。 「おいたわしや…主…」 同じく戻って来た長谷部は涙ぐむ。 「俺だって抱っこしたかったのにさ…」 獅子王は項垂れて膝を抱える。 『獅子王…』 ショックを受ける獅子王に寄り添い、頼政は涙目になる。 「妖怪なら斬れるんだけど…」 「病となると話は別…」 「くっ…力に成りたくても成れない…」 悔しそうに、髭切、膝丸、顎丸は顔を見合わせる。 「ぐぬぬ」 頼朝も愛奈を遠くから見詰める事しか出来ない。 「…義経様」 弁慶は義経の気持ちを察して視線を向けるが… 「今は見守るのみです」 落ち着いて義経も愛奈を見詰め弁慶に言う。
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