第八十九話私、頑張るから…

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「……心の病だと厄払いは出来ないね」 『致し方ないな…』 石切丸も義平も、顔を見合わせる。 「おい…慶次、女好きならなんとかしろ」 田貫は目を細め慶次に言う。 「あんたも無茶苦茶を言うね。女の心の病は難しい物さ」 呆れて慶次は溜め息をつく。 「うちの慶次を…馬鹿にするのは止してくれないかね? …慶次は風流人。芸子や花魁とも…粋な付き合いしかしないんでね」 慶次を馬鹿にされ、ムッとした紅蓮が田貫に言い返した。 「いっ…いや…別に俺は馬鹿にする為に言った訳じゃ…」 想いを寄せる紅蓮に怒られ、田貫は冷や汗を掻いて慌てる。 ……慶次を悪く言えば…紅蓮が怒るに決まってんだろ…馬鹿。 聞いていた清正は溜め息をついた。 一方…森の中を加州達は歩いていた。 集合場所の広場に着くと、先に来ていた他の皆と合流する。 「見廻り以上無かったよ」 笑って安定は腕を組む。 「…山賊の残党も居なかったし…安全だよ」 満足そうに加州も笑みを浮かべる。 「見廻り御苦労。用心に越した事はない」 義輝は二人に労いの言葉を掛ける。 「…こっちは、残党が少し居たが斬り捨てたぞ」 和やかに笑みを浮かべ三日月は頷く。 ……これが天下五剣…か。くそ…俺が早く見出だされていれば…俺も… 大兼平は目を細め、三日月に敵意を剥き出しにしていた。 …はは…大兼平は本当に馬鹿な奴だな。あからさまに敵意何か剥き出して… 笑いを堪えながら、鴬丸は大兼平を観察している。 「問題は愛奈だよ。男性恐怖症なんでしょ?…愛奈と接するのは…薬研、不動、次郎だけ…」 困った顔をして兼重は首を傾ける。 「何か良い手はないか…」 国重も考え込んでいた。
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