第八十九話私、頑張るから…

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……愛奈は男性恐怖症…他の精神的ストレスよりも…やはり男性恐怖症の方が強い筈… 皆から少し離れた所で、宗三は愛奈の様子を見ながら考えていた。 『宗三は綺麗で美しいですね。貴方なら良い和睦を出来るでしょう』 『宗三兄様は綺麗だね。僕は復讐しか考えられないけど…』 本丸で、江雪兄さんや小夜に言われたりしていましたけど… 正直…同じ兄弟でも…美しいとか言われると男らしさに憧れていた私は微妙でしたよ。 それが嫌で…隠れて筋トレしていたら… 『うっへぇ…あんた、そんな綺麗な手で筋トレしていたのか? まぁ、男らしくなりたいって言う気持ちは分からなくないぜ! よっし!俺も筋トレ付き合ってやるよ!』 間抜けな槍が、私を馬鹿にする事なく筋トレに付き合ってくれた… だから…私は情が生まれて彼と… 「っ!?」 御手杵の笑顔を思い出して、宗三は顔を真っ赤にすると… 「有り得ない…私は天下人の刀…一介の槍ごときに…本気になる訳が…」 首を振って宗三は否定した。 シュルッ 髪紐をほどくと、下の方に一つに結わえ… シュルッ 着物の着方も、女物の着物と同じように着治す。 「ふふ…完璧です…いざ、愛奈の元へ」 気合いを入れた宗三は、愛奈の元へ近付く。 「おぉ…」 次郎は宗三を見て納得して頷き… 「どっからどう見ても…」 「別嬪さんにしか見えない」 薬研と不動もびっくりして頷く。 「俺には無理だ…小道具無いとな…」 相変わらず、逆さまのまま厚は苦笑した。 「宗三お兄さん…?」 愛奈が見詰める宗三は、着物や髪紐を変えただけで女性にしか見えない。 「ふふ…どうですか?これでも私が怖いですか?」 優しく微笑んで宗三は愛奈に聞く。 「ううん、大丈夫…宗三お兄さん美人!」 満面の笑顔で愛奈は宗三を褒めた。
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