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第九十話毒キノコと愉しそうな島さん
「左近、捕らえた神子田をどうする気だ?」
陣幕の中、猿轡をされ、足や腕を縛られ転がされている神子田を指差し…
石田は島に問い掛ける。
「殿、拷問すれば白状するのは時代錯誤の古きやり方って御存じですか?
こいつは死人だが…我々と違って完全な妖怪や神ですら無い。
人間と同じ方法で自害されちまったら…せっかくの六合に繋がる情報も水の泡と消える」
冷たい目で、神子田を見据えながら島は石田に言う。
「だから何だ?」
訳が分からない石田は首を傾けた。
「俺と霧時雨は…伊達に放浪人生を送って居た訳じゃありませんよ。
…歪む前は…現代の世界を旅していましたし…紛争地帯、犯罪多発国、マフィアやヤクザの抗争…。
現代の方が…様々な方法ありましたよ」
愉しそうに島は石田に答えた。
「…様々な方法…か」
目を細め石田は腕を組む。
「殿と前田、加藤様は豊臣軍を率いて歪んだ戦国時代へお戻り下さい。
…私と霧時雨は神子田を白状させる為に幕末に残ります」
石田に指示すると、島は神子田に冷たい笑みを浮かべた。
……何だ?…こいつ何を考えて…
神子田は寒気を感じて青ざめた。
「あんたは中々の上玉。きっと楽しませてくれそうだ」
神子田の耳元に島は囁いた。
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