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第九十一話それぞれの旅立ちの日。
まだ日も昇らない早朝。
「本当に…愛奈に挨拶しなくて良いの?」
光忠は浅井に尋ねる。
「市を傷付けた某は…愛奈に会わせる顔など無い」
苦笑して浅井は光忠に答えた。
「でもさ…離縁しても…絆はあるぜ?」
鶴丸は困惑しながら浅井に言う。
「絆…か。確かに絆は消える事は無い。…某は歪んだ戦国時代へ戻り…朝倉殿や父上と再会し…愛奈が来たら力添え出来ないか話し合って見るつもりだ」
鶴丸の言葉に、浅井は苦笑して言うと長谷部に視線を向ける。
「…再び信長の時見たいに…愛奈様を裏切る事があれば…浅井長政…貴様の首を圧し斬る…」
殺気を出して長谷部は浅井に忠告した。
「信長に似て…お前は怖い刀だな。案ずるな…裏切ったりはしない」
笑って浅井は頷いた。
そして浅井は…無月が空間を歪ませ…そこから中へ入ると…
目に映ったのは、小谷城だった。
「ついに帰って来たな…しかし、…妙だ…あの三人…随分と甲高い女の様な声だったな?」
思い出して浅井は首を傾ける。
「胸あるように見えましたね」
「身長も縮んでいた?」
一文字と信義も首を傾ける。
「…まぁ、後は姫様に任せましょう」
笑って無月はアッサリ言うのだった。
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