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「会談の場を設けたのはそちらの筈…素顔を隠して我々と会うとは…些か無粋ではありませんか?」
不愉快そうに隆元は坂本に言い放つ。
「此方は危険を承知で来た。お前達も敬意を払うのは当然の筈…」
鳴狐も無表情で言う。
……二人の言い分、最もじゃき…そげんと…龍馬は…
陸奥は龍馬が素顔を隠している本当の理由を知っているので、冷や汗を流して口を震わせる。
「いやいやいや!二人の言い分は至極当然!
直ぐに取らなかったわしが悪い…申し訳無いが…これで許してくれんかの?」
スッ
豪快に坂本は二人に言うと、被っていた地蔵のぬいぐるみを脱いだ。
「!!」
「…」
隆元と鳴狐は龍馬の顔を見て目を見開く。
龍馬の顔全体は包帯で隠れ、包帯の隙間から火傷の跡が見えていた。
「幕末に来る途中…歪んだ平安時代で火を使う妖怪に襲撃されてしまってのう…
顔の傷だけはどうしても癒えず、仕方無いから…コイツで顔を隠していたんじゃ。
気分を害したら申し訳ない…この通りじゃ!!」
設けたのはなさそうに坂本は事情を話して謝る。
…龍馬…おんしは本当に…真っ直ぐな奴じゃ…
龍馬の熱意に陸奥は目頭が熱くなる。
「…仕方ありませんね。今は見逃しましょう。…単刀直入に要件を…」
溜め息を着くと、隆元は坂本に促す。
「…毛利御三方に…愛奈とわしらの協力を要請したいんじゃ」
真っ直ぐ見据え、坂本は高次に言い放つ。
「っ…何を世迷い言を…私達は父上や恋人を人質に取られ自由に動けば…危険に晒されてしまう。
……貴方の要請を受け入れる事など…到底不可能です」
冷たく坂本を見据え、ピシャリと隆元は断った。
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