第九十二話真心込めて会談ぜよ!!

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「…信親達が…無事…?」 思いがけない朗報を受け、隆元は瞳に涙を溜める。 「じゃあ…親忠や…」 「…盛親も…?」 元春と隆景も泣きそうな表情になる。 「…わしは嘘なぞ付かん!」 ニッコリ笑って坂本は胸を張る。 「良かった…」 「…うん」 鯰尾と骨喰も涙目になって抱き合う。 「…」 鳴狐は少しだけ安堵する。 「続けて笠間の松永城じゃが…捕らわれた先代伊達公とコンノスケの活躍により…ご両親は勿論、刀達も無事に脱出し…今は吉宗様の加治屋に居るらしいんじゃ」 続けて坂本は朗報を伝えた。 「……」 隆元は目を瞑り静かに無事を喜ぶ。 「しかし、愛奈と一行は笠間と古河の境にある山の中に居るんじゃが…松永の手下の軍師が居る山賊と交戦中らしい。 豊臣軍の軍師さん…竹中さんも側に居るから大丈夫じゃと思うんだが…無事なら連絡が来る筈じゃ」 真っ直ぐ隆元を見据え坂本は事実を教えた。 「…ならば私達も此処で連絡を待ちましょう。…三人の安否が確認出来次第…協力要請を受けるか…受けないか判断させて頂く」 動揺する事無く、隆元は坂本に答えた。 元春、隆景も頷く。 鳴狐、鯰尾、骨喰もそれに従った。 「分かった…良い連絡を一緒に待つかのう!」 嬉しそうに坂本も頷いた。 数時間後… 「連絡来たっちゃ!隆元殿!竹中殿からじゃ!」 奥に居た坂本は、隆元に駆け寄ると通信機を渡した。 『あー、もしもし…豊臣軍天才軍師半兵衛とは俺の事です。 …君が毛利隆元君?…いや…会話するなんて生前無かったから初めてだね?』 通信機から竹中は笑って隆元に尋ねる。 「貴方が竹中半兵衛…ですか。…先に信親の無事を確認したいです」 冷や汗を掻きながら、隆元は竹中に言う。 『良いよ?ちょっと待ってて…』 竹中は隆元に言うと…その場から離れ… 『隆元ですか?』 戸惑いながら尋ねる信親の声が聞こえ… 「っ」 言葉につまり、隆元は涙を流す。
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