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『泣いているんですか?…申し訳ありません…心配掛けましたね。
親忠や盛親も…皆無事です。ですから安心しなさい』
隆元を気遣う優しい信親の声に…
「ひっく…」
隆元は涙を流す事しか出来ない。
『竹中殿から聞きました。どうか愛奈と私達に協力をして下さい。
共に堕ちた神を倒しましょう』
優しく諭すように信親は隆元に言う。
「…分かった。では…また…」
信親に頷くと、隆元は通信を切り坂本を見据える。
「…協力要請を受ける。…直ぐにでも出立し笠間へ行きます」
真っ直ぐ見据え、隆元は坂本に答えた。
それから数刻後…
毛利三兄弟が笠間へ旅立ち、坂本達は祝の宴会を開いていた。
「しっかし…流石は龍馬ぜよ!…あんな位の高い毛利家長男相手に…臆せずに会談を成功に導くなんぞ…普通は出来ん大業じゃ!」
酒を飲みながら、陸奥は坂本に言う。
「なあに…あれは…わし一人じゃ出来ん。…陸奥、おんしが居たからこそ…わしは対等に話せたんじゃ!」
嬉しそうに坂本は陸奥に本音を打ち明けた。
「龍馬…」
嬉しくて陸奥は涙ぐむ。
「陸奥、良く覚えちょ置け!人を動かすんは人の真心…!
真心無くしては…どんな大義も商売も出来んと言うこっちゃ!」
清々しい笑顔の坂本は、陸奥にとって誰よりも眩しい太陽の様に見えた。
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