第九十三話俺はね…あんたみたいな人に虫酸が走るんですよ

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ザシュッ 『っ!』 しかし、乱戦の中…腕に傷を負い御仁は動けなくなる。 『見ちゃいられない…!』 身体で動くと、俺は霧時雨を鞘から引き抜いて御仁が居る戦場まで敵を凪ぎ払いながら進む。 『しっかりしろ!』 駆け寄ると、御仁は既に意識が無かった。 キュッ 素早く止血を済ませ…馬に乗せると… 『お前さんは、この人を連れて直ぐに撤退するんだ』 近く居た侍大将に俺は命じる。 『承知した!しかし…貴殿は…』 『俺は名乗れる程の者じゃない…通りすがりの浪人なんでね!さあ!!まだ諦めるのは早い!大軍でも穴がある! 穴を突いて戦局をこっちに引き戻すんだ!』 笑って俺は答えると…御仁の部隊に命令して飛び込んだ。 流石は御仁の部隊。穴を突いて見事戦局を変えちまった… 四天王も総崩れになり、撤退していく様子を見て俺も戦場から姿を消した。 それから数年後。 『島、左近。俺の家臣になれ』 『嫌だと言ったら?』 『俺の半分をお前に分ける…勿論金だ、金…』 『は?あんた頭でもおかしいんじゃないんですか?』 『長久手では貴様に世話になった。命の恩人に報いるのに…何の躊躇いがある?』 『分かりましたよ…島左近…石田三成様…貴方にお仕え致しましょう』 こうして私は殿に仕える事になり… 関ヶ原で殿を逃がし私は死んだ。 その後…殿も処刑されたと聞いた。 「人ってのは、一瞬、一瞬の生きざまに輝きがある。 …あんた見たいに…自分の策をひけらかす為…他人を不幸にする遣り口は嫌いでね」 島は笑って神子田に言うと… 「やれ。痛め付けても構わないと竹中さんから許可を貰っている」 「はいよ」 島が指示すると、霧時雨は神子田を天井に吊し上げる。
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