第九十六話複雑な気持ち

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その後、一行が来たのは廃業した宿屋だった。 三棟程あり、何故か管理されて居ない筈なのに露天風呂や各部屋は綺麗でそのまま…。 「女子供と…その連れは此処で泊まれ。 俺達は…あっちで泊まる」 疲れた顔をして、土方は他の皆を連れて去って行った。 「苦労人だね。ありゃ…」 「土方さんって官兵衛さんみたいだよ。世話妬いたり…苦労背負い込んでさ」 虎御前が哀愁漂う土方の背中を見て言うと… 楽しそうに嬉々として竹中も頷く。 部屋割りはこうなった。 光忠、大倶利伽羅、一期一振、鶴丸、愛奈は同じ部屋。 長谷部と日本号。 薬研と不動。 堀川と兼定。 御手杵と宗三。 秀康。 竹中と虎御前。 大兼平と鴬丸。 宗三と長谷部は、御手杵と日本号の看病している為…今は部屋に居る。 「見ろよ。布団カビ臭くない…幽霊の噂本当かもな」 苦笑して鶴丸は布団を敷きながら一期一振に言う。 「幽霊騒ぎも気になる…が…」 ドサッ 「へ?」 一期一振に押し倒され鶴丸は目が真ん丸になる。 「外で遊んでるから愛奈は居ません…鶴丸、楽しみましょう」 笑って一期一振が鶴丸に言うと… 「仕方無いな…」 諦めて鶴丸は一期一振に身を委ねるのだった。 一方… 「先に露天風呂は悪いな…まぁ、確かめるに越した事はないけどね」 タオルを巻いた光忠は、周囲を見回しながら大倶利伽羅に言う。 「俺達が先に入れば、愛奈も安全に入れるだろう」 腰にタオルを巻いた大倶利伽羅も頷く。 「ねぇ僕達…最近御無沙汰だったじゃない?」 上目遣いで光忠は、湯の温度を調べながら大倶利伽羅に聞く。 「…仕方無いな。愛奈が遊び疲れて戻って来る前に済ませるぞ」 溜め息をつくと、大倶利伽羅は光忠を抱き締め… 「分かっているよ」 苦笑して光忠は大倶利伽羅を受け入れるのだった。
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