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『幻魔大戦』かと思っていたら、『ブルー・ソネット』か『超人ロック』。いや平井和正ンところにも ”クェーサー” とかいうのが出てきてたっけ。
とにかくとっても三文な、SF的設定。
…おぉいあたしの現実世界はどこへ行ったんだあとパニくってる暇も、無かった。
「抵抗できんのなら都合がいい。おい!」
「 はっ。」
なんて応じて7~8人でまわりを取り囲まないでよねッったら、ちょっと大の男がっっ
「…鬼太郎、おたくこの人数をひとりで倒せたり… しない、わよね?」
「殴り飛ばして三十六計ってんなら出来るんですが。千香ちゃんがいるでしょう」
「あたしも走るのには自信がない。」
ったく武道家の息子にしちゃ頼りにならない連れだ。もっともこいつは典型的な、実践よりも理論とか指導に強いタイプらしい。
「さあ。来い。」
「 、やだっ。ちょっと。触んないでよったら、
きゃああ、ちかん★ すけべっ!! 」
出したぞ、百ホン。この際なりふり構っちゃいられない。べしっとか引っぱたいて飛びすさってはみても、後ろから羽交い締めに捕まえられたんじゃ、意味がないのよね…。
「…う~~~~~?」
あいかわらず鬼太郎にもたれかかって人間やめてる千香が、さわぎに五月蠅そうに呻いて目を覚ましかける。
「 きゃあ! きゃあ! きゃあ! 誰かあ~~~~っ!」
「…う、うるさいっ、やめろ!」
制服組がわめく。
だってさすがに鍛えてあるらしくってさ。いくらもがいても逃げられないんだぁ。
ええぃ。弟から習いかけの少林寺、もっとしっかり覚えとくんだった…。
お利巧さんの鬼太郎はしっかり耳にフタをしえいる。
でも、これだけ叫んでもすぐに救けが来てくれるほどには、近くに人家が無いんだよねェこの道…。
「どうした福岡。なにを手こずっている。」
5メートルくらい向うで車輛乗り入れ禁ズの小径を幅員いっぱいに塞いでいるテラテラした緑の軍用車から、隊員たちと同じ緑色の、こちらは背広仕立てに白衣をひっかけた小柄で気障そうな男がおりてくる。
「はっ。いや、博士。すぐに…」
視るからヤクザの隊長・福岡先生の合図で、じたばたしているあたしたち、無理矢理にひきづられる。
………やばい。
あの車に乗せられたら最後だ。
そう思うなりあたしは足をふり上げて、諸悪の根源をみごとに蹴り倒してしまっていた。
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