action.2 scene.4

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 …きゃあきゃあ ♪  スピルバーグの映画みたい ♪  …きれいに先の尖った 竹槍 が、まっすぐに飛んで来るんだもん…っっ  ばきばきばき。  青竹ロケットは量産体制にはいってしまったらしい。  片端から竹林が凶器に改造人間されて…  …えぇいこれでは最終戦争ハルマゲドンだ。こっちの安全まで無くなるじゃーないかッ! 「鬼太郎、危ないっ」 「どわ~~~~っっ★」  間一髪。伏せる。  千香のアタマのなかには敵も味方もないらしい。  それは結構だが… 「…ぶふっ?!」 「なにを笑ってんですか真沙香女史っ」 「…だってだって、あれ~~~っっ」  …何の必然性で竹槍の先に ”G” のマークが浮き出ているのか?  科学忍者隊の略ではない。  あれは……… Gペン だ…ッ!!  鬼太郎も気づいたらしく、笑いの発作にハラを抱えつつ竹槍へんじて巨大ペン軸の攻撃から逃げまわるという器用なことをやっている。  うん。  実にシュールな心象風景ね。  …いつのまにか世界は四角い原稿用紙の形に切りとられ、白っぽい もや のようなものが足元に充満したそこでは、ロットにスクール、スプーンペン。各種とり揃えてお絵描き道具が『敵』(〆切)を殺さんと走りまわってるってーわけ。  …千香のアタマのなかって、結局ソレしかないのね~。  ぷふ。ぐふ。  だけどあたしら二人の笑い(ジョーク)を理解できない緑衣隊員たちはそれこそ必死の形相で、次々と迫りくる鋭利な竹の切り口と果敢に格闘していた。  …さすがは体術のプロ。みるみるうちに地面にはヘシ割られた山ができていくんだけれども、この竹藪はけっこう広いので。  千香の武器がなくなる気配はない。 「わわわわわわっっ!!」  危うくシシカバブにされかけて鬼太郎が叫んだ。 「真沙香女子ィ、なんとかしろよっ!」  え? この混乱のさなか、何故あたしだけ落ちついていられるかって?  決まってんじゃない。とうに千香のそばに、貼りついているからよ…。
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