3人が本棚に入れています
本棚に追加
日曜日。ムービル(映画館)をでたあとで、天気もいいことだし中華街にでも行きましょうよ、と。
水色の根岸線を石川町駅で降りて、ちょっと歩くと大きな朱塗りの門がある。
はいってすぐの屋台から、ふかしたての肉まんをジャンケンで負けたほうが2コ買って、山下公園までのんびり歩くのがいつものコースになっていた。
あたし、当野槇子(とうの・まきこ)という。
ななめわけのストレートの長髪にびんぞこメガネという外見の、ごくふつうの専門学校生だ。
となりにいるのは高平千香(たかひら・ちか)。
だまって立ってりゃ世紀の美少女、くちをひらけば絶世の破壊者(クラッシャー)という、そらおそろしい性格をしている。
どんなふうにこわいのか、って…?
「わーい。温ったかいぞォっ」
そろそろ、秋だ。待ちきれず歩きながら無邪気に喰らいつくあたりまでは、まあ「玲瓏な美少女」→「可愛い♪」くらいの、魅力的といえなくもないイメージの落差なんだ。
だけどねぇ…。
「…あ”~~~~っっ!!」
「ど、どうしたん?」
「あのヤロー、あし踏んだッ!」
最初のコメントを投稿しよう!