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いきなり路上に積んであったビール壜をブン投げた!!
「 うわっ! ばかっ! 」
あれ、後頭部に直撃したら、もしかして傷害罪だけじゃ済まないんではなかろうか…。
…当たるな!
って、あたしは思ったわよ、とーぜん。
いやよォ殺人犯の友人だなんて、持ちたくないっ!
………。
ありがたいことに、怒りのあまり重たいビール壜の狙いはかえってそれたようだった。
わずかにズレた軌道をえがいて飛んでいく。
…ほ。
…と、息をぬいた瞬間。
「 馬鹿者っ!! 」
理不尽にも、千香がガラス壜にむかって大喝した。
…驚いた物体Xは、すなおかつ柔順に、そのコースを変えた。
…って、え。
えぇえっ!?
魔法の野球バットよろしく、口のほうを軸に急回転したビンは、ものの見事にチンピラのうしろ頭をヒットしてしまったのだ…
………そんなアホな。
…あの角度で、いったいどうしたら、落下しはじめた物体を、目標にブチ当てられるって、いうの…?????
………呆然。
見ィてしまった。
…『ムー』の世界だわこれは。『幻魔大戦』よ…。
…あたしをはじめとして目をむき口をあけたままの周囲の反応にもお構いなく、(たぶん自覚が…まったく…無いのだ。)
「 ざまをみろっ! 」
倒れ伏した男に脚をかけ、千香はマンガでなら手書き文字で「カカカ…」と表現されそうな笑い声、というか奇ッ怪な勝利の雄たけび?…らしい奇声をあげた。
それからおもむろに男のからだを探り、ポケットから小銭入れを引き出すと、きっかり百九十円、数えて盗って、
「…肉まん、買い直して来よっ♪ 」
…………あ★
あたしは、コケた…。
…どおしてこのコってば、喰いモノしかあたまにないの~~~っっ??
「…来るのよ。馬鹿。逃げるのっ!」
腕をひっつかんで駆けだしながら振り返る。
…あの男…
…本気で死んでたら、どおしよう…??
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