二、死んだのか???

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「それはちゃんとした神様に聞いてくれ。 そして死ぬとしても天国へ行くのか、地獄へ行くのか。それともそのどちらでもないのか。」 「どちらでもないってなんだよ。」 「知るかそんなこと。俺はわからない。初めてなんだって言っているだろ! とにかく、三人は絶対に離れるな。必ず俺に三人でついて来い。 もしバラバラになったら・・・」 「なったら・・・」 「つぎに何度生まれ変わっても、三人は絶対に出会えない。」 「それいいじゃない」 太が大きな声を出すと、クレタ、理玖、ヒロトは一斉に太を見た。 「お前は本当にばかだな。」 「なんだよ。嫌いな理玖と永遠に離れられるんだぜ。ラッキーじゃん。」 「そうか。じゃ、そう思ってろ。明日はここを離れる。 その前に行きたいところや会いたい人がいたら言ってくれ。 時間がないから一人一個な。」 「なんだよ。俺の話は無視かよ。」 「おまえはどこも無しでいいんだな。」 「いや・・・ある。」 太はクレタに耳打ちし二人で並んで歩き出した。 「太、どこ行くんだろうね。」 その後ろを理玖とヒロトは並んで歩いた。 「ヒロトの親はどこへ旅行に行っているんだ。」 「うん・・・」 「でも、きっと今ごろあわてて向かっているよ。」 「うん・・・」 「どうした?」 「なんでもない。」 「元気なくてあたりまえか。親に迷惑かけちゃったもんな。 あんなに泣くと思わなかったよ。」 「うん・・・」 「どうしたんだよ。さっきから。変だぞ。」 「うん・・・」 ヒロトは何も言わなかった。カバンを胸に抱えて理玖からも遅れ気味になった。 理玖も振り返り、ヒロトを待ちながら歩いた。 「元気ないな。大丈夫か?」 「うん・・・」 理玖はヒロトの手を繋いで引っ張り気味で歩いた。そして、幼い頃を思い出していた。 ヒロトだって怒る時も、悲しい時もある。けど、太と違って感情を外に出さないタイプでこうやって少しずつ足並みが遅れてきた時は大概、怒っているか、悲しいか、お腹が空いているとき。 「太、太!」 「なんだよ、るっせえなー。」 理玖の呼ぶ声にトゲをむき出しにして振り返ったが、ヒロトのそぶりを見て、小走りに駆け寄り、ヒロトの荷物を自分の肩にかけてもう一方の手を繋いだ。 「もうちょっとだから、頑張ってついて来てくれ。」 「どこ連れて行く気だ。」 「うん・・・ちょっと。」
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