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「クレタ・・・本当に道、わかっているんだろうな。」
「う・・・うん。」
「なんか、さっきから景色が変なんだけど。」
「う・・・うん。」
クレタの様子が朝ごはんのときとは明らかに違うことが3人にはよくわかった。
しきりにポケットに手を入れて何かを探している様子だった。
「大丈夫、いつもと変りなし。しっかりついて来い。」
そうは言うが、なんとなく自身なさげで、周りの景色も時折、ぐにゃっとよじれてそれを眺めていると酔いそうだった。
「本当にお前大丈夫か?」
太はクレタの肩に手をかけた。
「お前って言うな。俺は神様なんだぞ。クレタ様って呼べ。
気安く俺に触るな。」
「昨日までクレタって呼んでたじゃないか。」
太は手を払われたことに腹を立ててクレタの胸を掴んだ。
「やめろよ二人とも・・・少し休憩しよう。きっと疲れているんだよ。
ヒロトの手も乾いてきたし、どこか水のあるところに連れて行ってよ。」
クレタは今までなら地図を広げていたが、なぜか下の世界を一生懸命覗いた。
「わかった。ついて来いよ。」
普通ならそういうと何も言わずスタスタと歩き出すのに、下を何度も見下ろしては、見下ろしては歩いて行った。
「大丈夫か・・・なんだかいつもと様子が違うけど。」
「全然。問題ない。」
「ならいいんだけど・・・」
理玖が休ませてくれと頼んでから、まだ相当歩いた。
やっと見つけた池のそばについたときは、ヒロトの手はカッサカサになっていた。
「痛いか・・・」
「ちょっと・・・」
ヒロトの手に巻いたタオルをはがし、池の中にヒロトの手をつけた。
「あんまりキレイじゃないけど、仕方ない。
また水道があったら寄ってもらうから我慢しような。」
「うん。」
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