松田亜矢①

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 外見やさっきの友達との会話で得られた亜矢の情報。 【茶髪のセミロングに化粧は少し濃いめ。服装は白をベースに可愛らしくまとまっているが、所々にアクセントで赤やオレンジの小物を持っている。  口数も多く、ザ・女子大生という感じだ。  近くの大学に通う3年生で、同じ演劇サークルの先輩と付き合っている。最近その彼氏が同じサークル内の女友達と仲が良く、手を繋いでるのを見てしまったらしい。問いただすと、次の舞台の演技練習に付き合っていたと言われたらしい】  トイレから戻るフリをして、亜矢の隣の席に座り声を掛けた。 「すみません。もしかして今、お一人で飲んでいますか?」  俺の問いかけにかなり警戒した表情をしている。  当然といえば当然だ。見ず知らずの他人にいきなり声を掛けられたら亜矢じゃなくても警戒するだろう。 「えっと、1人ですけどこれ飲んだら帰ります」    そっけなく答える亜矢からは依然疑いの目が向けられている。 「そうなんですか……うーんとじゃあ、それ飲み終わるまでですぐ終わるので、これだけ付き合ってもらえませんか?」と言って紙コップを見せた。 「紙コップ?? すぐ終わるって何するんですか?」  紙コップを見せられた亜矢は、目を丸くし、不思議そうな顔でこちらを見ている。 「紙コップにコインを入れてもらって、それを当てるってゲームをしたいんです。っていうのも実は俺〇〇大学で心理学の講師をしているんだけど、発表用の研究データが少し足りなくて困っているんだ。お願いします! 少し付き合ってください」  そう言って頭を下げてお願いすると、亜矢は渋々ゲームに協力する事を承諾した。 「頭を上げてください。で、私は何をしたらいいんですか?」  亜矢の表情や声のトーンが、僅かに変化した。このゲームに興味を示しているようだ。 「いいんですか? 本当にありがとう。助かります。じゃあ早速始めようと思うんですけど、自己紹介がまだでしたね。俺は松岡拓海、26歳です。さっきも言ったけど大学の講師をしています。差し支えなければ下の名前だけでいいので、教えてもらえませんか?」と嬉しそうな表情で言った。 「亜矢って言います。大学3年です」  名前を聞かれて、また少しだけ警戒はしたが、こちらの嬉しそうな表情を見て亜矢は答えてくれた。
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