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松田亜矢②
落ち着いた口調で尋ねる。
「亜矢ちゃんがコインを入れたのは赤色の紙コップですか?」
亜矢から見て左から順に聞いていった。
「……………いいえ」
緊張こそしているものの、表情一つ変えない亜矢。
「それでは亜矢ちゃんがコインを入れたのは青色の紙コップですか?」
「……………いいえ」
これまた表情一つ変えない。さすがは演劇サークルを名乗っているだけのことはある。
「それでは亜矢ちゃんがコインを入れたのは緑色の紙コップですか?」
少しの変化も見逃さぬよう、じっと亜矢の顔を見た。
「……………いいえ」
だが、変化は見られない。
「最後に亜矢ちゃんがコインを入れたのはオレンジ色の紙コップですか?」
「……いいえ」
表情や仕草に変化は見られないが、僅かに答えるのが他より早かった。
「さすが演劇サークルだなぁ。全然表情とか仕草が変わらないから難しいなぁ」と苦笑いしながら言った。
「でしょ。でしょ。これはかなり自信あるよー! 当てれるかなぁ?」
こちらの発言を聞いて、完全に緊張は解け笑顔を見せている。
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