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「……そう言える理由は?」
陸遜が問う。
「旦那たちの報告だよ。去り際に銀のヤローが凌統に名前訊いたんだと。明らかに目ェつけてやがる」
「そうだったんですか」
初耳だった。
軍師である自分には重要なことだけ伝えたらしい
やはり、報告分だけでなくもっと深く聞いておくべきだった。
「…では、凌統殿の武が銀の目に留まり標的になったということですか」
「―ってぇよりは腹立ったんだろーな」
「え」
「銀は俺と性格が似てんだよ。たぶん凌統のあのすかした態度は鼻についたはずだ…ああ、解る、すっげえ解るぜ」
「…あの、甘寧殿。話しを進めますよ、良いですね甘寧殿」
一人でうんうん言って頷く甘寧
またさっきのように騒ぐのでは、と案じて陸遜はとっさに口をはさんだ
「先ず、一番に銀は凌統殿のもとへ向かっていく。つまりは先鋒隊に真正面からぶつかってくるんですね」
甘寧は再び首を縦に振った
「ああ、そりゃ確実だ。そこでいなしたとして……問題なのは次だ。次に来るのは俺んとこだろうが…俺の軍はいま別の場所に居る」
そうだ。
いま現在、甘寧の部隊は遊撃隊として隠している。
すでに森の中では、甘寧の旗を兵卒に持たせただけの偽装の陣も敷いてある
通常であれば甘寧と銀が鉢合わせることはまずない。
「……森へ入り甘寧殿が居ないと気づく…と、くれば……次はすでに面識のある夏侯惇殿の方でしょうか」
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