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わざとらしい口調に陸遜はたまらずクスクス笑いを始めた
「面白い人ですね、あなたは」
「そうかよ、おめェは物好きだがな」
「ここまでくると、銀と何があったのか聞きたくなってきますよ」
「…何が、ねぇ」
―チャリ、
甘寧が右の拳を開く
まだ手のひらに乗ったままの『宝』が、太陽の光を受けて僅かに輝く
「――予想が出来ねーワケでもなかったんだがな…」
「え?」
静かな声音を発す甘寧に、陸遜はキョトンとした。
「最初っから分かってたんだよ……全部。
ただ、いつか起きるだろうなってぼんやり思ってたモンが、いきなり全部来やがったんだ」
――ジャッ!
突然、甘寧が空高く『宝』を放る
―…キラキラと小さく光を反射するそれらが、陸遜には一瞬だけ本当に価値あるものにみえた。
「……俺らの船はな陸遜、軽いんだよ。どんな船より足を速くするために、な」
投げられた3つの『宝』の内、甘寧が小さな木片だけを宙でつかんだ。
他のものも獲れたはずだった。
だが、其れだけ穫った。
「―…だから、ちょっとしたことでもすぐ沈む。
……選び損ねたんだよ、俺ぁ」
「―………」
登りつつある太陽の光
それを浴びる横顔はわらっているのに、表現し難いものだった。
―トッ。
……最初は金属片、次に小石が、元の地面へ着地した。
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