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「おお、呂蒙殿、こちらの席が空いておりますぞ」
「…ぇ、う、うむっ。そうであるな蒋欽殿」
「…………。」
昼前の、城の広間。
天幕に襲撃を受けたため、臨時に野営組の将軍たちはこちらに移され集められていた。
正午からの作戦前とあって新たに指示を受けた諸将は、そのまま少し早い昼食をとっていた。
各々好きな卓に座って配給された食事をとりつつ、仲間同士で会話をして広間にはがやがやと賑やかな音が響いている。
(…呂蒙殿、それではわざとらしい。もう少し自然に振る舞ってもらいたい)
(いや、しかしな…)
「…………。」
……その広間の一角。
わざわざ人気のない端の卓を選び、甘寧や陵統たちに静かな昼食を妨害されないようひとりで座っていた夏侯惇は……たいへんに不機嫌な表情で匙(サジ)を口に運んだ
…――卓の向かいの席にわざとらしく座ってきた、蒋欽と呂蒙をもの凄い眼光で睨みつけながら。
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