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(…ものすごく睨まれているんだが……)
呂蒙は胃がキリキリしてきそうなのをなんとか抑え……飯の乗った盆を卓に置きさっさと座ってしまった蒋欽に続いた
「…………………。」
心なしか夏侯惇の睨みがさらに強くなった気がする。
そんなことにも構わず蒋欽はさわやかに微笑んでいた。
「―や、呂蒙殿、やっと空席を見つけましたな。他はもう満席だ!しかし良い席だ、うむ。
内密の話しを二人でするにはちょうど良い」
「………………………………………………。」
(………あ、胃が痛くなってきた。)
蒋欽の聞こえよがしの台詞にもろくに反応せず呂蒙が腹を抱え始めていると……夏侯惇は極限まで細めていた右目をふっと戻した
「……―フン」
…そして、ひとくち目でイライラしたままくわえていた匙を皿の上に置いた。
―ガタッ。
立ち上がり、卓を移動しようと夏侯惇が盆を持ち上げかけた、その時。
「…サジ」
!
その単語に、夏侯惇が思わず動きを停止した。
やや目を見開いて、それをさせた蒋欽をやぶ睨みする
蒋欽は目を伏せて口もとに静かな笑みを浮かべた
「……――“匙”が、落ちたぞ。夏侯の」
見れば、確かに卓の上には匙が転がっていた。
―……が、今この男が匂わせたものを、夏侯惇が解らないはずがない。
「………―貴様……蒋欽。何のつもりだ?」
夏侯惇は我慢ならずに口を開いた。
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