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蒋欽が緩慢な動きで腕を組む
「一つは、客将だった貴公が、本当の呉将として信用たり得るようになったこと……私がそう認めたということだ。
今の貴公には戦況を聞く権利があるが、戦況を聞いて騒ぐ権利はもはやない」
――昨夜の一件で、保険はかけてある。
蒋欽の呟きに次いで、呂蒙がさらに音量を低くして話した。
「……―そして、利害の一致が大きな理由だ。夏侯惇、我らの敵は一致した」
「何?」
「お前の従兄弟……夏侯淵を討ったのは、『左慈』という男だ」
―――ガタッ、
椅子が引かれた。
驚愕に顔を歪ませる夏侯惇が、先ほど立ち上がった椅子を自ら引いていた。
「……なん、だと?」
「夏侯淵の仇は『左慈』だと言っている。現在、殿に近づき甘言を繰り返している『左慈』と、同一人物だ」
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