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「馬鹿な……!」
なぜ奴が、淵を。
2人に聞いても到底答えなど聞けないであろう問いを頭で繰り返す。
「…つまり、我ら周泰軍並びに軍師、そして貴公は、同じ人物を敵視していることになる。
いや、その老人はもはや捨て置けん。呉軍すべてを敵に回した」
呂蒙が深刻な表情で頷く。
「ああ。殿に数回は進言しているはずなのに、未だにその姿を捉えることができん……信じられんが、夏侯淵を討つなど相当の実力もあるようだしな」
「――……………。」
押し黙って椅子に手をついたままの夏侯惇に、蒋欽が目を向ける。
「……夏侯の。今我らのすべきことは、本当はこんな小競り合いではない。
呉軍総出で左慈とやらを捕らえるべきなのだ……―だが、周泰殿が言われたとおり、大事になれば当然魏軍にも露見する」
ひと息おいて、蒋欽は薄茶の瞳を細めた。
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