2025人が本棚に入れています
本棚に追加
/427ページ
「くそっ、出てこい呉軍め、我らが相手だ!どうした、臆したか負け犬ども!!」
隊長らしき男が喚きちらす
「―おい…ッ、なあ、おかしいぜ。さっき奴らをこの道に追い詰めたはずなのに……誰も居ねえ!」
兵卒が浮き足立つ
「――………あ!!」
やがて、その内のひとりが不穏に気づく。
みるみるうちに青くなった兵士は、自分の死を目前に………
絶叫した。
「―――た、た、隊長ぉおおおおぉおぉおおーーーーーーーッ!!!」
一瞬後、狭い谷底の空を黒い影が覆い尽くした。
―――ドオオン!ドオオン!ドオオン!ドオオン!ドオオン!ドオオン!
「―はっはあ!命中命中!」
………落石を浴びた軍団を見下ろし、谷の上の人影はパンッ!と膝を叩いた。
ニィ、と笑んで黒髪の男は勢いよく背後を振り返る
「――よぉ、見てやしたかい程公っ!?俺の用兵もいいもんでしょう!」
最初のコメントを投稿しよう!