彼方の旅路と

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「くそっ、出てこい呉軍め、我らが相手だ!どうした、臆したか負け犬ども!!」 隊長らしき男が喚きちらす 「―おい…ッ、なあ、おかしいぜ。さっき奴らをこの道に追い詰めたはずなのに……誰も居ねえ!」 兵卒が浮き足立つ 「――………あ!!」 やがて、その内のひとりが不穏に気づく。 みるみるうちに青くなった兵士は、自分の死を目前に……… 絶叫した。 「―――た、た、隊長ぉおおおおぉおぉおおーーーーーーーッ!!!」 一瞬後、狭い谷底の空を黒い影が覆い尽くした。 ―――ドオオン!ドオオン!ドオオン!ドオオン!ドオオン!ドオオン! 「―はっはあ!命中命中!」 ………落石を浴びた軍団を見下ろし、谷の上の人影はパンッ!と膝を叩いた。 ニィ、と笑んで黒髪の男は勢いよく背後を振り返る 「――よぉ、見てやしたかい程公っ!?俺の用兵もいいもんでしょう!」
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