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「応。なかなかに良い軍(イクサ)立てだったぞ張昭!」
厚みのある、地面にビリビリと響く大音声―――……
落石からなんとか逃れ谷底に残った兵たちが、残らずそちらを見た。
「――…あれは……!!」
「…ふむ、臆病な犬ほどよく吠えると云うが、なるほど主らは大したことが無い」
「程公」と呼ばれたその男は、見上げるほどの大男だった。
其処に居る者すべてを圧制してしまうような、存在感と威圧感
重厚な朱の鎧甲は、全身を他人の血で染め上げているように錯覚させた。
「―カハッ!」
白い虎髭を蓄えたその大男が嗤い―…
――“青の”隊長は全身が一気に粟立つのを感じた。
「っ退けーーーッ!!!
何をしている、早く退けぇ!相手が悪い、このままでは壊滅…
――――っ!!」
…当惑している軍団に叫んだ男の胴体を、通常の二倍はあろうかという巨大な鉄の矢が貫いた。
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