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「遅い。判断も号令もなってませんな」
白髭の大男の隣りに平然とたたずむ長髪の男が、クスリと笑って鉄弓を下げた
――が、射抜かれた男には既に聞こえていない。
「――――……!!」
目の前で頽れる隊長に、兵卒達はもはや為す術なく……
「うわああぁああぁあああ!!」
我先にその場から逃げていった。
「――カハハッ!軍(イクサ)の園に出るにはちぃとばかり早かったのう!出直せい赤子ども!!」
――鼓膜が痛むほどのその咆哮が、勝ち鬨だった。
おぉおぉおおぉおぉおおぉおぉおおぉおぉおおぉおぉおおぉおぉおおぉおぉおぉおおおお!!
「――ほう、『仙人』とな!これはなかなか面白くなってきおったわ」
甲冑の音をがしゃりと響かせて、白髭の男が城の廊下を行く。
無意識の荒々しい気迫に、通り過ぎる誰もがハッと振り返り拱手したまま立ち止まっている……
「程公、こりゃそんな程度の話しじゃあないでしょうよ」
その後ろを足早について行く張昭がブスッとして応えた。
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