2025人が本棚に入れています
本棚に追加
曹操の馬がぶるっと首を振ると、蝗は飛び去っていった。
「…ふむ。しかし、こ奴らは肥沃な地にこそ群れる――…元は豊かなのであろうよ、牧が少しでも熱心であったら今年は蓄えで乗り切れるはずだ」
「こう戦続きでは…」
「ああ…、そうだな。結局、蝗ごときではない、原因は我等にこそある……人災は悪徳だが…しかしこればかりは、終えるにはまだ道が長い」
言い終えると許チョがまた駄々をこね始めた
「曹操さまぁ~~。おらやっぱり疲れただよお~」
曹操が微笑する
「まだ要るのか、虎痴よ。ワシとしてはこれも休息のうちだが」
「だって、おらがこう言わねぇと曹操さまぁ休まねぇだ」
「クク、そうか。ならば向こうの林を抜けたらよく休むとしよう」
再び駆け出した曹操の馬に一行が続いていく
サァァア…
「――……、雨か…」
曹操が空を見上げてぽつりと言った。
最初のコメントを投稿しよう!