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「主公に、迷いとな?」
「ええ、故に……私めは御主君を責めるにあまりすすみませぬ」
軽く頭をさげて説得役を辞退する諸葛謹
提案した程普はニヤッとした。
「儂の案には乗れぬ、されど軍規起草については反対である…と」
「はい」
「―ふむ、顔に似合わず肝の座った男よ、気に入った!」
「もったいのう御座います」
あの程普に異を唱えるとは、と魯粛があわあわ見守る中、諸葛謹は涼しい顔でそうささやいた。
「――して、申せ若いの。主公の難はいかにある」
程普の声に諸葛謹が顔を上げる
「…まずは呉軍内の古くからの亀裂。
古参と新参の間に派閥が多く、どちらを信用するかまたどちらの意見を採択するか、そして呉軍全体がひとつになるにはどうしたら良いか」
「―…派閥、ふふ、程普は思い当たる節だらけですな?」
「朱治よ、何のことか」
「―………、」
周瑜がわずかに身じろぐ
魯粛は心配そうにそれを見やり、諸葛謹は静かに表情無く続けた
「…次に、この対曹操、劉備戦への懸念と疑問。
そもそもこの争いは『戦』と呼べるのか、何をもって勝利とするのか、何をもって敗北とするのか――そして…」
言葉をきって、諸葛謹が息を継ぐ。
「―…あの者……夏侯惇。彼の」
「ほう、夏侯惇が挙がるか!!!」
!?
…突然、程普がビリビリと廊下に轟く大声を出した。
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