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『――――っ!?』
衝撃波のようなその大音量に皆が驚いて程普を見る
キーンと耳が鳴り、心臓がばくばくするのを魯粛が抑えていると……朱治がやはり微笑んだままで程普をたしなめた。
「…程普、阿呆うのように声を張り上げては周りに迷惑ですぞ。程普の大声は慣れぬものには凶器です」
…しかし、程普は興奮気味に咆え続けている。
「―ほう、ほう、ほう、夏侯惇!!
奴か、先日呂蒙らに引き抜かれたという若僧か!?儂は奴を軍(イクサ)場で見たことがあるぞ!いや懐かしい!
討伐軍の頃なんぞはまだ口髭も生えとらん小童で―…」
「・・・程普。」
「!?」
その一瞬だけ、朱治の声に恐ろしい響きが加わった。
「―――……おお、すまん朱治。なんだったかの?」
はたと程普が我に帰る。
ほかの三人は今度は朱治に驚きの視線を向けたが、笑みを絶やさない長髪の男はすでに声の調子を普段のものに戻していた。
「…………もう宜しい、音量も戻りました。―さて、周瑜、魯粛、諸葛謹」
「!…はっ、」
「忙しい中引き止めてすみません。あとは殿に直接問いただしに参りますので……これにて」
ふわりとわらって朱治が周瑜の脇を通りすぎる。
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