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「朱治、まだ話しを聞いとらん」
「誰より人の話しを聞かぬ程普が云うことではないですな」
「なんと、主は何故儂に手向かう」
カツカツと靴を鳴らし去っていく2人に、軍師たちは冷や汗を拭った。
「……全く、あの二人は底がしれない。心臓に悪いな」
『同意です、都督』
「……全く、あれ以上は周瑜があわれでしょう」
「ふむ。ずいぶん嫌われたものよのぅ、周郎には」
「おや、それは今さらですな。諸葛謹の申した通り、呉軍内の派閥は今や解消し難いものです。程普や周瑜が何もしなくとも、実のあるものは掲げられるが道理…まあ何処も同じでしょうな」
「主はそれとは違うな、朱治よ」
「それも今さらですな。そういうものは卑小な者たちの寄りどころでしょう、必要ありません。私にも、張昭、黄蓋、韓当らにも……もちろん、先の彼らにも」
程普は朱治の言葉を聞きながら、コツコツとこめかみの辺りをつつく。
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