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―ガシャ。
―ばさっ。
扉の前で、程普が重々しい兜を外す
朱治が己の外套を剥ぐ
「…砕けぬが最善、後は知らん。あれは己で気付かねば進まぬ。―カハハッ!さて朱治よ、老翁は黙って老翁らしく、主に小言でも垂れに参ろうか!!」
雄叫びに似た哄笑が、再び廊下へ響いた。
「あー、ちょっといいかい?そこの人。そこのガタイ良いおにーさん」
「…俺のことだろうか?」
「そう。ちょっと聞きたいんだけどさ、甘寧とかいうバカ見なかったかい?」
「甘寧殿…?見なかったが」
問われた黒い短髪の男が振り返った先には、凌統が笑顔で立っていた。
「なんだ…―ったく、甘寧の奴、人のこと呼んどいてどこ行きやがったんだよ…常識ねえのかっての」
「…何か用なら見かけたときに言付けておくが」
「いや、いいよ。あっちが俺に用あるらしいし。ありがとさん……―って、あれ?」
礼を言った後で立ち去ろうとした凌統は、再度男の顔をまじまじと見た。
「……徐盛殿か?」
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