リアは働きます。

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 しかりつけ、さけびつづけながら、立ったままで、鍋の底に残ったスープをひしゃくいっぱいほど大急ぎで飲み下して、たったそれだけが、リアの朝ご飯になります。  上の2人をそれぞれの稼ぎしごとに大急ぎで送り出し、中の2人を畑の草むしりや牛やヤギたちの放牧の見張りにたたきだすまで、リアはとにかく、怒鳴りっぱなしです。  そして、陽射しがかなり高く上り始めたころ、したの2人の面倒をみて、ケガや迷子にさせないようにと中の2人に言いつけて、リアはいちばん大きなトシヨリのオス牛に大きな古い木製のボロ車をつなぎ、朝とったばかりの乳や卵や、少しばかりの香草や果実や、タキツケにつかう干し草や流木の束なんかをいろいろドサドサと山盛りに積み込んで、急いで市場に出かけます。  横からたたきつけてくる太陽の熱線が、リアを真っ黒焦げに焼き上げてしまいそうです。  長い長い岬をたどる、デコボコの石まみれの土と泥の急坂を、大きな車をひく大きな牛の手綱を小さな手でいっしょうけんめい握ってひきながらくだり、汗をかきながら大急ぎで港のわきの市場にかけつけると、もう朝一番の魚のとりひきは終わった後で、買い付けに来た近くの村のおかみさんたちやドサまわりの行商人たちが、市場の屋台で一休みして、飲み物や食べ物にありつく頃合いです。
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