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「遅いよっ!」
リアは、怒鳴られました。
「もっと早く来られないのかいっ!?」
「すみませんッ!」
リアは謝りながら、大慌てで牛車の荷台から、荷物を下ろして屋台のおばさんに渡します。
「しかも、これっぽっちかい? 足りないよッ!」
「……す、すみません……ッ!」
リアは小さくなって謝ります。暑さと恥ずかしさと悲しさと悔しさと、もしかして、そのせいで明日からの商売を断られたら? いえ、もう、今日、持ってきたものの買い取りも、断られてしまったら……?
という恐怖で、顔が真っ赤になって、それから真っ青になって、汗と、なにかほかのものが、ポタポタと地面に、したたり落ちて、小さなシミをつくっていきます。
屋台のおばさんは、軽くためいきをついて言いました。
「モノは良いんだからさ。お客さんが、待っててくれてんだからさ……。
……まぁいいや、足りない分は、あとで、ほかから仕入れるさ……」
「すみませんッ!」
「ま、あんたもひとりでがんばって、小さいののメンドウまでみてて、大変だよねぇ……
……で、いつもの玄米と麦粉で、いいのかい?」
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