憧れの存在は身近に

7/12
前へ
/12ページ
次へ
 先生の呼び出しを終えて、家に帰った私は自室でSNSを開いた。今日は私の好きな男性アイドル、てぃらんくんの生放送番組が配信される日だ。  てぃらんくんは、このSNSを中心に活動していて、普段は週一の生放送番組『てぃらんくんのおはなしタイム』という番組名で、視聴者の悩みやコメントに答えたり、生歌を披露している。さらに一年に四回のライブハウスでのライブ、トーク、握手会を開催している。中高生を中心に人気を高めている芸能人だ。あ、そろそろ始まる。 「みんな~おつかれさま~! てぃらんくんのおはなしタイム、はじまるよ~ん」  照明に当たってキラキラと輝く金髪、可愛らしい丸い黒目、右頬には紫色の雫のペイント、金と青のラインが入った変わった形の襟の白いジャケット、同じデザインのスラックス、胸元には輝く銀色の国章風バッチのついた衣装を着て生放送をしている。その見た目から、てぃらん王子、てぃらん王と呼ばれていた。 「今日もみんなから、たくさんのお悩み、コメントが届いています☆ コメント欄が渋滞しているね、全部読めないや、あははっ♪」  コメント欄には、『次のライブ楽しみ』とか『ライブチケット取れなかった~泣』など、ライブに関するコメントが次々ときていた。ちょうど一週間後に今年は二回目、累計では六回目のライブが開催される。ちなみに私は次のライブのチケット取れなかった勢の一人だ。定期テストと重なって、チケットを応募する余裕がなかったからだ。
/12ページ

最初のコメントを投稿しよう!

6人が本棚に入れています
本棚に追加