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ランキングに載りたい!
暇だ……。
本当に暇だ。
開店してから既に3時間が経過している。
中にどころか店先にすら人がやってこない。
時計は短針が12をいくらか過ぎた場所を指していた。
飲食店であれば1日の指折りのピークタイムだろうが、うちに限ってはそうではない。
疎らどころか一人もいないのだ。
この惨状はうちだけかと言うと、そういう訳でもない。
周りの出店者も大半は似たような悩みを抱えていた。
誰も彼もが「客がこない」「暇だ」「このままじゃ廃業だ」と、お決まりのセリフを口にする。
この商店街自体が過疎地かと聞かれれば、答えはノーだ。
津々浦々から異常なくらいにここに人が連日集まる。
平日、土日関係なく数万人が毎日のように訪れるのだ。
ではその人々は今どこにいるのだろうか?
彼らはランキングで紹介された店に向かう。
日間ランク、週間ランク、総合ランクに掲載された店舗のうちのいずれかに、人々は吸い込まれていく。
大半がではなくほぼ全員が、だ。
ランク外の店に行こうなんて客はまず居ない。
今も商店街の入り口付近を見ると、規格外の行列が何本も延びていた。
あそこの青年男性に偏った客層の店は日間ランク1位の店。
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