回顧 高一の夏 初めての友達。そして変わり行く僕らの気持ち

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息苦しさに思わず漏れた吐息混じりの声は、自分でも驚く程に甘くて。 海斗の体がびくりと震えて、肩を押されて距離が離れた。 見上げた顔は珍しく真っ赤に染まっていて。 「……海斗…?」 「っ、南それ反則っ!」 叫ぶなりもう一度腕の中に閉じ込められた。 頭の直ぐ上で、大きな溜息を吐いて。 「………あー……今直ぐ抱きてぇ……」 抱く? 抱くって……。 意味を理解すると瞬時に頭が沸騰しそうなくらいに顔が熱くなった。 いや待て。 抱くって、要するにアレだろ? ってか男同士って出来るのか? どうやるんだ? いやそうじゃなくてっ。 一人腕の中でパニクってる内に、海斗の腕の力が緩んだ。 「鍵、ありがとな。……大事にする。この鍵も、南も。ずっと」 優しい笑みと声に、心臓がどくんと大きく跳ねた。 どくどくと大きく鳴り続ける鼓動が、上昇する体温が苦しい。 けれどそれは決して嫌な感じでは無くて。 何これ。どうしてしまったのだろう。 「南?」 初めての感覚に首を傾げる僕を、海斗が心配気に覗き込む。 「なっ何でもないっ」 慌てて首を横に振ったけど、鼓動は中々落ち着いてはくれなかった。 この夜から、狭いアパートでの二人暮らしが始まった。
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