回顧 高一の夏 初めての友達。そして変わり行く僕らの気持ち

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そう云えば、税金とかどうなってるんだろう。 高校生だけど一応自営業になるんだよな。 その辺全部担当さんがやってくれてるからよく分からないけど、領収書は全部取っとけって云われた。 んで使った分は次の原稿料と一緒に振り込まれる。 描くのに必要な道具にお金が掛からないってのは、すごく助かる。 「ならスマホのが絶対いいって。ネットで調べ物も出来るし」 何だか海斗の方が乗り気で楽しそうなんだけど。 取り敢えず見るだけでもって、翌日街に出掛ける事になった。 電車で一番近い大きな街は、夏休みって事もあって大勢の人でごった返していた。 街なんて出掛ける事無かったから、蒸し暑さも手伝って、改札を抜けた時点でもう人酔いで気持ち悪い。 「大丈夫か?」 「……建物入れば、平気だと思う……」 心配そうな海斗にそう云って、駅前の家電量販店に入った。 結局海斗に推されて、その中にある携帯ショップに向かう。 スマホなんて触った事も無い僕はどれがどうなんて全く分からず、全部海斗に任せっきりだった。 幾つか彼が選んだ中から、操作が簡単で丈夫で、充電の持ちが良い物を選び抜き、パンフレットを貰って店を出た。 通りに出た途端、むわっとした重い空気に息苦しくなる。 「おっ、ゲーセン。取り敢えずあそこ入ろうぜ。奥に休憩コーナーがあるんだ」 斜向いに見えたきらびやかな看板の方へ、海斗に手を引かれて行く。 冷房の効いた店内は様々なゲーム機の電飾と、賑やかな音で溢れていて一瞬目がチカチカした。
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