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瑠璃には白の、祖母ちゃんには淡い紫の花冠を模したリースを墓石に掛けて、海斗が微笑む。
「此処なら寂しく無いさ。そんな遠くないから何時でも来れるし」
「……うん」
こつんと、寄り掛かった僕の肩を抱いて、空いた手がゆるゆると頭を撫でる。
その温もりにそっと目を閉じて、穏やかな春の風に身を委ねた。
「そう云えば海斗、結構長い事手を合わせてたけど、何話してたの?」
霊園を出て、海に続く坂道を下りながらふと尋ねた。
「んー、南の事。色々報告して、一人じゃないから安心して下さいって。それから……」
軽く唇を合わせて悪戯っぽく笑って。
「いつか同じ墓入ったら、宜しく頼みますって」
「ばっ、こんなとこで、んな事すんなっ、それに同じ墓って何云って…っ」
「誰も居ないし?それに俺、お前の事死んでも離さねーし」
こいつのこう云う態度や台詞には何時まで経っても慣れない。
きっと真っ赤になってるだろう顔を俯かせるしか出来なくて。
そんな僕の肩を抱き寄せて、海斗は楽しそうに笑った。
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