回顧 高ニ高三 幸せ過ぎて

4/12
1163人が本棚に入れています
本棚に追加
/319ページ
瑠璃には白の、祖母ちゃんには淡い紫の花冠を模したリースを墓石に掛けて、海斗が微笑む。 「此処なら寂しく無いさ。そんな遠くないから何時でも来れるし」 「……うん」 こつんと、寄り掛かった僕の肩を抱いて、空いた手がゆるゆると頭を撫でる。 その温もりにそっと目を閉じて、穏やかな春の風に身を委ねた。 「そう云えば海斗、結構長い事手を合わせてたけど、何話してたの?」 霊園を出て、海に続く坂道を下りながらふと尋ねた。 「んー、南の事。色々報告して、一人じゃないから安心して下さいって。それから……」 軽く唇を合わせて悪戯っぽく笑って。 「いつか同じ墓入ったら、宜しく頼みますって」 「ばっ、こんなとこで、んな事すんなっ、それに同じ墓って何云って…っ」 「誰も居ないし?それに俺、お前の事死んでも離さねーし」 こいつのこう云う態度や台詞には何時まで経っても慣れない。 きっと真っ赤になってるだろう顔を俯かせるしか出来なくて。 そんな僕の肩を抱き寄せて、海斗は楽しそうに笑った。
/319ページ

最初のコメントを投稿しよう!